トイレ行かせず自白迫る 袴田事件、取り調べ内容判明
1966年の「袴田事件」で、捜査段階での袴田巌さん(80)への取り調べを録音したとみられるテープに、取調官が「トイレに行きたい」という袴田さんの要求を受け入れず、「その前に返事を」などと自白を迫り続ける様子が記録されていることが袴田さんの弁護団への取材でわかった。
テープは一昨年10月に県警の倉庫内で発見され、これまでに弁護士の接見の様子を録音したとみられる音声などが確認されている。今回はさらに、取調室に便器が持ち込まれ、袴田さんが中で用を足す様子も明らかになったという。
弁護団はトイレに行かせず自白を強要するなどの取り調べの手法や、接見の録音が警察官の「職務に関する罪」にあたり、刑事訴訟法が定める再審請求の理由になると主張。近く東京高裁に再審請求の理由追加申立書を提出する。
否認を続ける袴田さんに対し、2人の取調官が「やったことはやった」「間違いないだろ」などと繰り返し迫る状況が続いた後、袴田さんが「すいません。小便行きたいですけどね」と要求。これに対して2人が「(小便を)やらしてやる」「その前に返事してごらん」などと、引き続き自白をさせようとする様子が残されているという。
その後、テープには「便器もらってきて。ここでやらせればいいから」という取調官の声が入る。「そこでやんなさい」と袴田さんを促す様子や、「出なくなっちゃった」という袴田さんの声、続いて実際に用を足す水音なども確認できるという。
袴田さんはこの2日後、勾留期限3日前の9月6日に自白に転じた。
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