俺は高橋のシャツの胸ポケットから硬いものを取り出した
さっきからたかはしが抱きついたままだから、俺の胸に当たって痛かった
貝殻じゃん…
と、俺はたかはしを見た
ああそっか、あのときの
あのさあ、俺、去年お前が急にいなくなってから、これの片割れ、
捨てようかと思ったよ
月に向かって放り投げようかなって
でもさあ、結局、
俺は高橋にまだ抱きつかれたまま、
たかはしに言った
ベッド、行こうか
枕元にもうひとつ、片割れがあるから
その前にお前、顔洗えよ
タオルぐしゃぐしゃだし、足も汚いし、服もそんなだし
シャワーと、きちんとした服とか靴とか、あとで貸してあげるから、とりあえず綺麗にしろよ、な?
…で、いま、とりあえずふたりは一緒に住んで、パはブの帰りを待ちながら、ごはんつくって、コントを書いている