妻へのDV容疑で逮捕された作家・冲方丁が独占手記を発表。警察と検察への怒りと疑義
週プレNEWS 11月30日(月)6時0分配信
今夏、突然もたらされた、「冲方丁(うぶかたとう)逮捕」の報道ーー。
150万部のベストセラー『天地明察』でも知られ、人気・実力を兼ね備えたスター作家に一体何があったのか?
事件の背景と真相について、本人がついに沈黙を破って明かした!
■私が「手記」をつづるに至った理由
3人組の刑事が私の前に現れたのは、突然の出来事でした。
2015年8月22日、東京・秋葉原で「冲方サミット」と題したファン向けの定例イベントを催した後、
私を含めた約10名のスタッフは、同じ会場内で打ち上げをしていました。
宴もたけなわの頃、同席していた編集者のひとりが近づいてきて、私にこう言ったのです。
「奥さんの関係者だという方が、店の入り口に来ているそうなのですが…」
妻の知人とはいえ、わざわざお酒の席に訪ねてくるような人物に心当たりはありません。
「いったいなんだろう?」と訝(いぶか)しく思いながら店を出てみると、そこにはスーツ姿の3人の男性が立っていました。
そして、手に持っていた警察手帳を控えめに提示しながら、こう言うのです。
「冲方丁さんですね。奥様のことでお聞きしたいことがあるので、署までご同行願えませんか」
まるで刑事ドラマのワンシーン。私は大いに戸惑い、反射的に思ったのは、「妻に何かあったのだろうか」ということでした。
そう、まさか自分自身が被疑者として同行を求められているとは、この時点では夢にも思っていなかったのです。
ひとまずその場にいた面々には、「事情はよくわからないのですが、ちょっと行ってきます」と言い残し、
手荷物をまとめて店を後にすることにしました。
そして、警察官に促されるまま覆面パトカーに乗り込んだのです。
これが、9日間にわたる理不尽、かつ不可解な勾留生活の幕開けでした。
各マスコミが報じたとおり、妻へのDV容疑で逮捕された後、8月31日には釈放され、去る10月15日には不起訴処分が決まりました。
その間、冲方逮捕のニュースは思いのほか大きく報じられたようですが、もちろんなんの罪も確定していません。
そして不起訴をもって、奪われた自由を取り戻しました。私はこれを身の潔白が証明されたからだと理解しています。
一貫して私が主張し続けてきたとおりの結果であり、本来、この不起訴をもって「終わった」と満足すべきなのでしょう。
しかし、勾留中に留置場内で体験した出来事は、私にとってあまりにもセンセーショナルであったばかりか、
これが「誰の身にも起こり得るトラブル」であることを痛感しました。
なぜ、私は逮捕されたのか? 弁護士と警察と検事の間で繰り広げられた法律ゲームも含め、
この不可解な現実を世に明かし、あらためて疑義を呈したい――。
これが、こうして私が筆を執るに至った一番の理由です。
■房の中で見聞きした興味深い事象の数々
逮捕後に不起訴処分が下されるケースは、決して珍しいものではありません。
では、どのような事情で不起訴に至るのかといえば、それもさまざまなケースがあります。
例えば、逮捕はしてみたものの、罪を証明するだけの証拠が見つからなかった場合、
あるいは訴えた人間が、なんらかの理由でそれを取り下げた場合などです。
いずれも検事が判断することであり、私の場合、どのケースに該当するのか、はっきりしません。
告知書には、