犯罪白書によると、年間の精神障害者の犯罪検挙数は全検挙数の約0.6%であるとされています。精神障害者の数が全人口の約2%であることからすると、精神障害者の犯罪率はむしろ一般より低いといえます。
しかもこの統計は、精神障害者に加えて、警察が「精神障害の疑いがある」と判断した数も含めていますから、実際にはもっと少ないかもしれません。
精神障害者の犯罪は殺人・放火などでは高率であるといわれますが、その被害者は近親者が多く、他の犯罪と同列にその社会的危険性を論ずることはできません。
医療観察法が目的とするところは、殺人・放火などの重罪を犯した精神障害者の再犯の予防です。
それでは、こうした犯罪における精神障害者の再犯率はほんとうに高いのでしょうか。
殺人および放火を犯した精神障害者について、初犯後11年間における再犯の実態を調査した報告によると、その再犯率はおのおの6.8%と9.4%でした。
ところがこれと比較すべく調べた一般犯罪者の同じ期間における再犯率はおのおの28.0%、34.6%と精神障害者の4倍に近い再犯率を示していました。