第九地区
悲しい映画だった
そして恐ろしい
久々にSF黎明期の素直さと気骨を持つSF映画を観た
SFであるという意義を本当に感じさせる映画というのは
実はこういう「ジャンル分けが出来ない・レッテルを貼りにくい」映画にある
南アフリカの地で作られたからこその沢山の声なき声が画面に溢れており
エンタティメントの体をとってはいるが
内容はアフリカ限定でもなくフィクション限定でもない
善良さと弱さでできた凡庸な主人公と、象徴としてのエビが
国家と軍と企業が結びつく無言の冷酷な構造の元で痛めつけられていく過程は
リアルであり人類として胸が痛くなる映画だった
最後の花で甘さに救われた