説明のつく理由がひとつ考えられる。それは若山氏が、かなり早い段階から、STAP細胞の正体を知っていたという可能性だ。
もちろん、小保方氏と若山氏が最初から共謀して、ES細胞をSTAP細胞と偽って、論文をつくったというのは考えにくい。すでに高い名声を得ている若山氏がそんなリスクを冒すとは思えないからだ。
しかし、途中からは、若山氏もSTAP細胞がES細胞であることに気づいていたのではないか。そうでないと、その後の行動の説明がつかないのだ。
以下はまるっきり推測だが、こういう風に考えられないだろうか。最初、若山氏は、小保方氏の研究内容を聞いて、半信半疑だった。しかし、Oct4-GFP発現の実験方法を指導すると、小保方氏は答えを出した。それを見て、若山氏はこれが画期的な研究になると判断し、「ネイチャー」誌への投稿や特許申請に前のめりになっていった。
そして、「ネイチャー」のためにこういう実験結果がほしいと小保方氏に高いハードルの要求を突きつけ、小保方氏がそれに応えるという形で、実験が進んでいった。ところが、途中から、ほしい答えがあまりにも期待通りに返ってくるため、若山氏は小保方氏を疑い始めたのではないか。もしかしたら、これは、ES細胞がすり替わっているだけかもしれない、と。
........................ そこで、若山氏はいち早く、自分が作製した幹細胞やキメラマウスは小保方氏に渡したマウスとはちがうものからできている、STAP細胞はES細胞の可能性が高い、という情報を発表。小保方氏に責任を全て押し付け、自分は逃げ切ろうという作戦に出たのではないか。
実際、前稿で指摘したマウスに関する間違った発表や、無関係な中国人留学生のES細胞に関する情報以外にも、若山氏はSTAP細胞が小保方氏による捏造だったことを示唆するさまざまな情報を流していた。