手記はSTAP細胞問題について「不勉強であったことを、心から反省し恥じています」と謝罪。小保方氏が研究者を志したころから始まり、一連の騒動を全253ページ、15章構成でつづっている。
12章「仕組まれたES細胞混入ストーリー」は、14年6月に「私を混入犯に仕立てる」動きがあったと指摘。共著者で元理研の若山照彦山梨大教授や、理研統合生命医科学研究センターが相次いで会見を開き、小保方氏がES細胞を使ってSTAP細胞を捏造(ねつぞう)したように画策したと主張している。
騒動の渦中にあった14年8月に自殺した上司の笹井芳樹氏については、13章「業火」で「笹井先生がお隠れになった。金星が消えた。私は業火に焼かれ続ける無機物になった」とショックの大きさを表現。検証実験中には、体重が30キロ台まで落ちこんだことを明かした。
「STAP細胞はあります」と断言した同年4月9日の会見の裏側も告白。会見3日前に体調不良で入院。会見に備えて、病院の美容院で髪を切ってもらっている最中、美容師が気遣いから週刊誌を渡してくれたが、精神的にも衰弱していた小保方氏は自身の写真が載った表紙を見て気絶したという。
同書ではSTAP細胞が本当にあるのかどうかという核心には触れていない。9000万円が投じられた理研の調査でSTAP細胞の存在は否定されたが、著書の反響次第では問題が再燃する可能性もある。
≪出版記念会見開かず≫講談社によると、「あの日」は初版5万部で1部1400円(税別)。出版に関して小保方氏が記者会見を開く予定はないという。一般的に著者への印税は約10%とみられ、それで計算した場合、小保方氏の手元に入るのは約700万円になる。