NY為替見通し=米小売売上高や加CPIを確認、トランプ・トレード 米債の反応は先の話か
本日のニューヨーク為替市場でドル円は、まず序盤に発表される米国の6月小売売上高で足もとの景気動向を確認しながらの取引か。前月比総合は前回の小幅プラスから0.3%減に下振れ予想だが、自動車を除く(前月比)は横ばいと前回の小幅マイナスから若干の持ち直し見込み。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に大きな影響を与えるものではないものの、結果次第ではリスクセンチメントが強弱どちらかに振れる可能性はあるだろう。
ただ指標結果への反応一巡後は、株式市場についてはトランプ・トレード(11月の大統領選でトランプ氏勝利を見込み、同氏が公約した政策に基づいて投資家が行う取引)を意識した値動きとなりそうだ。そのため、小売売上高が弱い結果であってもセンチメントの悪化は一時的かもしれず、リスク回避的な為替の動きも限られるかもしれない。
ところで金利・債券市場では、トランプ・トレードというよりも、大統領選よりも前に実施されることがほぼ確実な「FRBによる利下げ」に目が向いているようだ。
確かに、トランプ氏が声高に叫ぶ減税を含めた財政拡大は米債需給の緩みに繋がり、保護主義を強めた関税引き上げによるインフレ回帰も懸念される。しかしながらそれは、(確率が高くなったとはいえ)11月の選挙でトランプ共和党候補が勝利し、1月に就任してからということ。一部で言われているトランプ・トレード、米金利上昇を背景としたドル高は先の話かもしれない。
本日はカナダからは、6月消費者物価指数(CPI)が発表される。前回は前年比2.9%と、4月からの鈍化予想から一転して加速に転じた。今回6月分は2.8%とやや減速見込み。注意したいのは、カナダと経済的な結びつきが強い米国でインフレが想定以上に鈍化していたこと。カナダCPIも米国に追随して予想比下振れともなれば、一気に追加利下げへの機運が高まることになりそうだ。
想定レンジ上限
・ドル円、日足一目均衡表・転換線159.50円
・ドル/カナダドル(CAD)、6月11日高値1.3792CAD
想定レンジ下限
・ドル円、15日安値157.19円
・ドル/カナダドル、200日移動平均線1.3593CAD