【相場の細道】米7月NFP+11.4万人、「サーム・ルール」0.53%
「歴史は繰り返さない、韻を踏む。統計的な規則性は、経済的なルールではない」
(パウエルFRB議長)
2024年7月の米国の失業率は4.3%となり、6月の4.1%から上昇した。就労者数は6.7万人増となり、6月の11.6万人増から減少した。
非農業部門雇用者数は前月比+11.4万人の増加となり、6月は速報値の+20.6万人から+17.9万人へ下方修正(▲2.7万人)され、5月は改定値の+21.8万人から+21.6万人へ下方修正(▲0.2万人)されたことから、合計で2.9万人の下方修正となった。
2021年の非農業部門雇用者数は724.5万人の増加となり、年間ベースで過去最大の伸びを記録し、月平均は60.4万人の増加だった。2022年の月平均は37.7万人の増加、2023年平均は25.1万人の増加、2024年平均は20.3万人の増加となった。
パウエルFRB議長は、7月31日に、インフレ率や労働市場の減速を確認すれば、9月利下げ開始を検討する、と述べていたが、0.50%の利下げには否定的だった。しかし、米7月雇用統計を受けて、フェドウオッチの9月の0.50%の利下げ確率が上昇している。
8月21日に予定されている年次改定の暫定値発表では、昨年同様の下方修正(▲30.6万人)の可能性があり、8月22-24日のジャクソンホール会合での利下げ幅への見解が注目されることになる。
1.家計調査(Household survey):失業率を算出(※6万世帯)
7月の失業率は4.3%となり、6月の4.1%から上昇した。労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は62.7%となり、6月の62.6%から上昇した。失業率の上昇は、新たな労働者が労働力として参入したというよりも、職を失い離職した人が多かったことがある。一方で、労働市場を退出していた人が復帰しており、参加率の上昇に寄与した。
失業者数は716.3万人となり、6月の681.1万人から35.2万人増加し、2020年2月の570万人を依然として上回ったままとなっている。労働力人口(1億6842.9万人)は、パンデミック(世界的大流行)前の水準(1億6458万人)を約384万人上回っている。
不完全雇用率(フルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者を含む広義の失業率(U6)は7.8%となり、3カ月連続の7.4%から上昇した。
・不完全雇用率(U6):7.8%(6月7.4%、5月7.4%、4月7.4%:2020年5月21.1%)
・労働参加率:62.7%(6月62.6%、5月62.5%、4月62.7%:2020年2月:63.4%)
・長期失業者(27週以上):153.5万人(6月151.6万人:2020年2月112.1万人)
・黒人の失業率:6.3%(6月6.3%、5月6.1%、4月5.6%:2020年2月6.0%)
(※黒人の失業率は景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向)
2.事業所調査(Establishment survey):非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll)(※12.2万の会社・政府機関)
7月の非農業部門雇用者数は、前月比+11.4万人の増加となり、43カ月連続での雇用拡大となった。平均時給は前月比+0.2%の35.07ドルとなり、6月の+0.3%から低下し、前年同月比は+3.6%となり、6月の+3.8%から低下して、3カ月ぶりの低い伸び率となった。
上昇率3.0-3.5%で米連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標2%に一致するとされており、9月の利下げは確実とみられている。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は前月比横ばいにとどまり、前年比は+4.8%となり、2021年3月以来の5%割れとなった。
3. サーム・ルール( Sahm Rule)0.53%
米連邦準備理事