NY為替見通し=ドル円、円ショートポジション解消の加速に警戒
本日のドル円は心理的節目の155円を割り込みストップロス売りも巻き込んで一時154.37円と5月16日以来の安値をつけた。来週に日銀金融政策決定会合を控え、膨らんでいる円ショートポジションの解消が続いている。市場では日銀が来週の金融政策決定会合で追加の利上げに踏み切り、金融政策の正常化を早めるのではないかとの観測が拡大していることから円買い・ドル売りの動きが強まっている。新規の材料が出なくても流れからこの動きが加速する可能性に警戒したい。
来週の日銀金融政策決定会合で追加利上げを行うとの予想は約3割程度と6月会合後から大きくは変化せず、依然として10月会合での利上げ予想が最も多い。ただ、9月会合での利上げ予想が徐々に増えており、市場が利上げ予想を前倒ししているのも確かである。今月に入って、河野デジタル相や自民党の茂木幹事長ら有力議員が異例ともいえる利上げに言及し、超低金利政策を続ける日銀への政治的不満が示唆されたのも円の買い戻しが進んでいる要因になっている。
ドル円は今月3日に161.95円と約37年半ぶりの高値をつけた後、7円超下落している。ドル円が再び160円台を回復するかそれとも150円に向かうかは、来週の日米金融政策イベントを通過した後になりそうだ。日銀の追加利上げ思惑が円の買い戻しを進める要因となっているが、今月に入り米経済指標がさえない結果が多く米利下げ時期の早まりや利下げペース拡大への懸念が高まっているのも、ドル円のドル売り・円買いでクロス円の円買いを後押している。本日は7月米景気指数(PMI)や6月米新築住宅販売件数の発表が予定されている。ドル円の下方向への警戒感が強いこともあり、ネガティブ結果に警戒。
・想定レンジ上限
ドル円、昨日の安値155.57円や本日これまでの高値155.99円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、本日これまでの安値154.29円や5月16日安値153.60円が下値めど。