【相場の細道】6月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」
7月23日、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した6月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」は、3つの指標のうち2つが前月より伸び率が拡大した。上昇率の高い品目順に並べ、品目のウエートを加味した際の分布で中央の値である「加重中央値」(2020年基準)は前年比+1.4%となり、2カ月連続で伸び率を拡大した。
上昇品目の比率は78.7%で、5月の79.3%を下回り、22年9月以来の低水準となった。下落品目は16.1%で、5月の15.5%を上回った。
7月9-10日に、国債買い入れの運営について意見を聴取する「債券市場参加者会合」が開催され、7月30-31日の日銀金融政策決定会合で国債買い入れの「相応」な減額計画、そして可能性は低いものの追加利上げが決定されることになる。
1. 基調的なインフレ率を捕捉するための指標
物価動向の分析にあたっては、現実に観測される「消費者物価」の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率(「コア指標」)が利用されている。
生鮮食品を除いた「コアCPI」や生鮮食品およびエネルギーを除いたコアコアCPIの他に、様々なコア指標を総合的にみていくことによって、基調的な物価変動をより的確に把握できると思われる。
日本銀行調査統計局では、毎月の全国消費者物価指数の公表に合わせて、上昇・下落品目比率、刈込平均値、最頻値、加重中央値を試算し、原則として、全国消費者物価指数の公表日の2営業日後の14時を目途に公表している。
2.6月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」(※コア3指標)
■刈り込み平均値:前年比+2.1%
・5月と変わらず(5月+2.1%、4月+1.8%、3月+2.2%、2月+2.3%、1月+2.6%)
・価格変動が大きい上下10%の品目を異常値として機械的に除き算出する
■加重中央値:前年比+1.4%
・2月以来の高い伸び率(5月+1.3%、4月+1.1%、3月+1.3%、2月+1.4%、1月+1.9%)
・価格上昇率の高い順にウエートを累積して50%付近にある価格変化率
■最頻値:前年比+1.6%
・5月を上回る(5月+1.5%、4月+1.6%、3月+1.9%、2月+2.0%、1月+2.3%)
・品目別価格変動分布で最も頻度の高い価格変化率
3.6月の消費者物価指数(CPI)
■消費者物価指数(CPI):前年比+2.8%(5月+2.8%、4月+2.5%、3月+2.7%、2月+2.8%、1月+2.2%)
■コアCPI(生鮮食品を除く):前年比+2.6%(5月+2.5%、4月+2.2%、3月+2.6%、2月+2.8%、1月+2.0%)
■コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーを除く):前年比+2.2%(5月+2.1%、4月+2.4%、3月+2.9%、2月+3.2%、1月+3.5%)
6月のコアCPIは、政府による電気ガス補助が半減したことで、前年比+2.6%まで上昇した。しかし、岸田首相は「酷暑乗り切り緊急支援」の名称で電気・ガス料金を8-10月の3カ月分を補助し、施策を再開する。