こちらも朝から雨になりました。空はいちめん曇って暗く、かなたに連なる山々も厚い雲に覆われて見えないのですが、冬の日のような暗澹とした雰囲気はさすがにもう感じられません。風緩く雨細く、鳥のさえずりがひたすらのどかです。梅の花の香がしめやかに薫っています。
きのふけふ世はのどかにてふる雨に柳が枝ぞしだりまされる(風雅和歌集・徽安門院一条)
こちらも朝から雨になりました。空はいちめん曇って暗く、かなたに連なる山々も厚い雲に覆われて見えないのですが、冬の日のような暗澹とした雰囲気はさすがにもう感じられません。風緩く雨細く、鳥のさえずりがひたすらのどかです。梅の花の香がしめやかに薫っています。
きのふけふ世はのどかにてふる雨に柳が枝ぞしだりまされる(風雅和歌集・徽安門院一条)
一日が雨に暮れようとしています。この雨の影響で明日明後日とまた冷えこむようですが、それでも日中の気温は十度ちかくまで上がるもよう、どうやら凍える心配はなさそうです。
雨そそく柳が末はのどかにて遠の霞の色ぞ暮れゆく(風雅和歌集・西園寺公宗)
わが宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕べかも(万葉集・大伴家持)
春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげにうぐひすなくも(万葉集・大伴家持)
雨そそく園の呉竹枝たれて夕べのどかにうぐひすぞなく(玉葉和歌集・洞院実泰)
冬の間、せめて春を待つまでの慰みにと雪、霜、氷に親しんで来ましたが、寒さ冷たさはもうこりごりというのが正直な感想です。
いま、しっとりと濡れた苔の上に梅の花びらが散っています。空に知られぬ雪ぞ降りける……。本格的な春を迎えて、冬のおもかげは梅と桜の落花の雪にちらつくだけ。目前のそんな季節が待ち遠しいです。
晴れゆくか雲と霞のひまみえて雨ふきはらふ春の夕風(風雅和歌集・徽安門院)
「自然の美しいのは僕の末期の目に映るからである」と、芥川龍之介は言いました。「自然を愛するのは腐敗した人間の趣味」だと、三島由紀夫も短編「スタア」に書いております。やはり自分、いよいよだめかもしれませんw