蛙の声を聞くと、大昔に見た古里の景を思い出します。もう夏も近い晩春の宵、まだ水をひかぬ田の面いちめんに紫雲英が咲き、そのながめの末、遠い影絵の山の端には、ほのあかりの満月が何だか原始的な懐かしさで輝いていました。はっきりとはわかりませんが、おそらく二十年くらい前のことでしょうか。
蛙の声を聞くと、大昔に見た古里の景を思い出します。もう夏も近い晩春の宵、まだ水をひかぬ田の面いちめんに紫雲英が咲き、そのながめの末、遠い影絵の山の端には、ほのあかりの満月が何だか原始的な懐かしさで輝いていました。はっきりとはわかりませんが、おそらく二十年くらい前のことでしょうか。