「そして、あの『オチタ会』…自称最強の学閥組織が、結局は大学入学試験に落ちた連中の集まりだなんて、笑うしかないな」ティエリーは自嘲気味に言った。
「フクザワ・ユキチも、草葉の陰で泣いているかもしれないぞ。」
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二人はしばらく無言で画面を見つめ合った。日本の大学院留学という、輝かしい未来への希望に満ちた計画は、インターネットという容赦ない鏡に映し出された現実によって、大きくその色を変えていた。
「ティエリー」マーサは意を決したように言った。
「私たちは、もう一度、他の大学を探してみるべきじゃないかしら。」
ティエリーは少し考えてから、ゆっくりと頷いた。
「ああ、そうだな。どうやら、『低能義塾大学』は、僕たちの求めている場所ではなさそうだ。
僕はバカ田大学について調べてみるよ」
遠い異国の、期待外れの名門大学。二人の友情は、その幻影が崩れ落ちた後に、新たな現実を見据え始めたばかりだった。デンバーの夜空には満月が静かに輝き、パリの街灯は、二人の新たな旅立ちをそっと照らしているようだった。
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