広告代理店関係者が言う。 「デザイナーはクライアントからの信用が第一の商売。彼のように信頼を失うと、すぐに復活するのは難しい」
一方で、業界内には「サノケンはまだ死んでいない」という見方もある。佐野氏は競争の激しいデザイン業界で成功を収めてきた人物だ。多数の賞を獲得しており、同業界の重鎮にも愛されている。即座に業界から追放されるかというとそうではなく、復帰の道は残されているというのだ。 表には出てこない佐野氏だが、最近は出版社・誠文堂新光社とのやり取りを続け、新著の出版について打ち合わせをしているという。
同社の広報担当者が言う。「いまも担当者は連絡を続けています。どういうタイミングで刊行するかといったことを話し合っていると聞いています」
騒動以前、佐野氏は今年の12月に同社から『伝わらなければデザインじゃない』(1800円)という著書を出す予定だった。表紙の画像は公開されており、佐野氏のデザインと思しきキャラクターが印刷されている。自身のデザインについての哲学を語るという内容だという。 佐野氏はパクリ騒動のさなか一時的に出版社への連絡を止め、計画は一時中断していたが、そのプロジェクトについて再びやり取りが始まったというのである。
教員として復帰することも考えられる。多摩美大の広報によれば、騒動以前、佐野氏は来年度から初めてのゼミを持つ予定だった。現在、カリキュラムの調整中だという。