名作紹介2
カサットの代表作、母子像
《眠たい子どもを沐浴させる母親》
《眠たい子どもを沐浴させる母親》
1880年 油彩、カンヴァス ロサンゼルス郡立美術館蔵
Digital Image © 2015 Museum Associates / LACMA. Licensed by Art Resource, NY
第5回印象派展(1880年)に出品された作品で、カサットの最初期の母子像のひとつと考えられます。家庭の日々の営みの中にある幸福な一瞬が描かれています。
軽やかなタッチと明るい色彩
カサットは、ベルト・モリゾら印象派の画家たちと親交を結び、その軽やかで明るい画面を自分の作品にも取り入れました。
とろける眼差し
まどろみながら母親に身をゆだねる子どものとろけるような眼差し。すべてを包み込むように受け止める母親の優しい眼差し。静かに話しかける母親の声が聞こえてくるようです。
仕事をする母親の手
母親は子どもを膝に抱き、右手でスポンジを絞っています。画面全体が柔らかいタッチで描かれるなか、母親の右手だけが克明に描写されています。それによって、子どものために働く母親の日常がリアリティをもって伝わってくるのです。