第2章
印象派との出会い
カサットは、自分の作品を正当に評価しないサロンに次第に不満を持つようになりました。一方でエドガー・ドガの作品からインスピレーションを受けて、革新的な絵画表現を目指すようになります。カサットはドガの誘いを受けて1879年の第4回印象派展に出品し、その後第7回を除き毎回出品しました。印象派の影響の下で、彼女の絵画は、自由な筆致と明るい色彩を特徴とした画面へと変化します。この頃、両親と姉のリディアがアメリカから移住して同居するようになり、彼らをモデルに、華やかな観劇の様子や家庭の情景を描きました。また、1880年代には、ドガやピサロとともに銅版画の制作に熱中し、実験的な技法による版画作品を数多く生み出しました。