そんな中で、のめり込んだのがインターネットの掲示板だった。不安定な生活が続き、自殺という選択が頭をよぎりながらも、「居場所」であるネット上で自らの分身としてのキャラクターを設定し、掲示板に書き込みを続けた。
地裁公判の被告人質問では、「現実は建前社会で、ネットは本音社会。本音を言える場所はとても重要で、他に代わるものはなかった」と回想した。ネット掲示板で知り合った友人と会う約束を、「生きる希望」と感じることもあった。
しかし、事件の動機として挙げたのも、同じネット掲示板だった。掲示板に加藤死刑囚をまねる「なりすまし」や、交流を妨害する「荒らし」が現れるようになり、いらだちを募らせたと明かした。
「嫌がらせをやめてもらうために『事件を起こす』と警告してきたが、なくならず、事件を起こして報道してもらうことによって、本当にやめてほしかったと知ってもらおうと思った」(被告人質問)
13年に刊行した著書「解+」では「誰かがいれば、その人のために何かしますから、成りすましらのことは後回しにできます。私にはもう、成りすましらとの関係しか残っていませんでした」と振り返った。