制 限
本調査および報告においては少なくとも以下の制限がある。
まず、1つ目に交絡因子、誤分類等の観察研究の通常のバイアスの影響を否定できない。
2つ目の制限として、上述の通り、ワクチンの最終接種日が不明の者(10.9%)は本解析では除外している。
ただし、最終接種日不明症例も含む接種回数別の解析を行ったところ、類似の結果であった。
3つ目の制限として、今回の調査では、ワクチンの製造会社ごとの有効性は評価していない。
4つ目の制限として、本研究では陽性例についてウイルスゲノム解析を実施していない。
ただし、デルタ流行期、オミクロン流行初期における解析であり大部分は
それぞれデルタ、BA.1/BA.2への感染であったとの想定のもとで実施している。
5つ目の制限として、サンプルサイズの制約から、一部の推定では有効率の信頼区間が広いため、
点推定値の解釈には注意が必要である。なお、人工呼吸器を要する症例と呼吸不全の対照群を
比較した調整オッズ比は、点推計値が過大評価されている可能性(sparse data bias)があるが、
この二群におけるワクチン接種歴の分布は大きく異なっていた。
6つ目の制限として、3回接種の中長期的な重症化予防効果、
4回接種およびオミクロン対応2価ワクチンの重症化予防効果は検討しておらず、これらは今後の検討課題である。