戦力にならない四大卒の女性総合職が日本企業の活力を奪っている #51

51短編小説『セクハラ・ポリスの栄光と挫折』:2025/04/29(火) 01:43:49.20 ID:sm1UNYEp

私は蹌踉(よろ)めき、その場で尻餅をついた。

「痛たたた!」

若い男性が、「大丈夫か? 自分で立てるか? 俺は関係ねえからな。不同意猥褻で俺を交番に突き出すのか?」と早口で私に尋ねて来た。「良いから手を貸して。御願い!」私は若い男性の方に手を伸ばした。

「ここで手を貸してアンタを抱き起こすと、また『身体に触れた! セクハラだ!』とか言って、その挙げ句に不同意猥褻だと騒ぐんだろ? 分かってんだから」

若い男性は一旦、私の方に伸ばし掛けた右手を引っ込めて、立ち去ろうとする。

「因みに、さっきのキスは彼女の方からだった。良いか、オバサン? さっきのを不同意猥褻と言うなら、彼女を告発すべきだぞ。

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俺を犯罪者呼ばわりしたオバサンを助けても、なんか別の罪を被されそうだからな。 悪いが俺は、この侭立ち去るぜ」

そう言い残して、若い男性も行ってしまった。

路地の奥に一人残された私は、途方に暮れ涙を流した。

夫も恋人も子供も、そして友達もいない私は、震える手でスマホを取り出し、同郷の京浜安保共闘の仲間に電話した。

「どうした? すぐ行く」

幸い近所に住んでいた彼女の息子さんが、自転車で駆け付けてくれた。

「立てますか? 実はウチの母もね。先月、バスで痴漢を捕まえようとしたらナイフを振り回されて、その拍子に転倒して腕を骨折しちゃったんです。ホントやんなっちゃう。

“被害者”の女の人は次のバス停で降りて何処かへ行っちゃって、警察も連絡が取れないんですって。

だから痴漢かどうかも分からないし… “加害者”が振り回したのもナイフじゃなくて髪を梳かす櫛だったみたいで… 目撃証言してくれる人もいないので、ウチの母の自損事故のような扱いですね」

それから彼のかかりつけクリニックで診察して貰うことに。レントゲン撮影の結果、大腿骨の骨折で全治4箇月と診断され、私は入院することになった。会社には、知人宅に立ち寄った帰り道に転んだと報告した。

因みに、京浜安保共闘の同郷の仲間の件は、“被害者”とされる女性が自ら積極的に腰を動かして喘ぎ声を発していたという目撃証言が寄せられた後、警察が漸く見つけ出した“被害者”本人も、積極的に腰を動かしたのは自分の方だと認めたので、猥褻罪での立件は見送られた。

女性を“被害者”と決め付けた京浜安保共闘の同郷の仲間も私も、今回の骨折は、もしかしたら神様による裁きだったのかもしれないと、深く反省する良い機会となった。

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長年『セクハラ・ポリス』として、一方的な正義を振りかざしてきた私にとって、今回の挫折はあまりにも痛く、そして重いものだった。私の栄光は、脆くも崩れ去ろうとしているのかもしれない。


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