>ふたりの足取りは軽い。だけど会話は冗談半分、怒り半分だ。
>Lorenaがふと真面目な表情になる。
>「でもさ、イジメって、黙ってると悪化するって言うじゃん」
>Mariaは頷く。
>「うん。MIZUHOちゃんもさ、『お前の目、乳首みたいだな』ぐらい言い返せたら良かったのに」
>「はは、それはキツい。でも確かに、ああいう場では一発ギャグ的に返せば場が変わるんだよね。彼女、15歳でデビューしたてだったんだよね。無理か」
>「でも、周りに大人いっぱいいたのに、誰もフォローしなかったってのが一番ダメだよね」
>Lorenaは少し俯いて言う。
>「カメラ回ってるスタジオで、誰も助けない。そっちの方が怖いわ。日本人って、集団だとほんと冷たいんだなって思った」
>Mariaは空を見上げる。
>「勤勉で礼儀正しいってイメージあったけど…実際は違う一面もあるんだなって。支那に抜かれて、ドイツに抜かれて、インドにももうすぐ抜かれるんでしょ?」
>Lorenaは笑いながら肩をすくめる。
>「あと10年でブラジルにも抜かれるよ、きっと。まあ、日本も完璧じゃないってことだね」
>その夜、ふたりは秋葉原のメイド喫茶で盛り上がった。オムライスにケチャップで「肉食系」と書いてもらいながら、Mariaが言う。
>「でもさ、日本って好きだよ。変なとこもあるけど、それ含めて面白い」
>「うん、なんか矛盾が多くて。そこがまた魅力だよね。ガチで言うと、肉食系女子ってのは、自分で自分の身を守れるってことなんだよ」
>Mariaが大きく頷いた。
>「そうそう。自分の価値観持って、自分で選んで、自分で責任取る。被害者ぶるだけの女じゃない」
>Lorenaがケチャップでハートマークを描きながら言った。
>「だから、セニョール石橋も中居クンも、次からは私たちみたいな肉食系女子とだけ飲んでください、って話!」
>「そうそう、責任持って踊るから!」
>ふたりの笑い声は、秋葉原の夜に響いていた。