韓国、高齢自殺の背景に貧困問題
2020.9.21 SankeiBiz
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200921/mcb2009210500004-n1.htm
韓国は、自殺率が高いことで知られている。近年は、アイドルの相次ぐ自殺が 日本でも注目を集めたが、韓国の自殺問題は年齢が高くなるほど深刻となっている。
高齢者の自殺率を国際比較すると、主要国で低下または横ばい傾向にある中で、 韓国は2010年以降にやや改善したものの、際立って高い状態が続いている。
この背景としては、まず景気要因がある。1990年代後半に韓国経済が 通貨危機により大きく落ち込んだことに加えて、これを契機とする構造改革の中で 企業がリストラや雇用の非正規化を進め、経済的困窮による自殺が急増した。
さらに、内需拡大を目指して、政府が99年にクレジットカード利用の奨励策を 打ち出すと、家計債務が急増した。こうした借金を苦にした自殺増加も、 2002年以降の自殺率高止まりの背景にあったとされる。
困窮する高齢者への対応策として、08年には公的年金制度において、 低所得者向け給付制度が新設された。しかし、国際比較可能な直近のデータに おいても、韓国では他国を大きく上回る4割以上の高齢者が貧困状態にある。
年金制度が拡充されたとはいえ、高齢者の所得に占める現金給付など「公的移転」の 割合も依然主要国に比べて低い。低所得者向け給付の増額などの改革が 検討されているが、高齢化が加速する中で、制度の持続可能性には懸念も多い。
高齢者の貧困解決、ひいては自殺の防止の取り組みは容易ではないといえる。