アメックスセンチュリオン(ブ ラック)、私はこうして入会した
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アメックスセンリチュリオン(ブラック カード)はいまだに謎の多い領域で、もしかすると、保有者さえもまだ全貌を知らないのかもしれない。最大の謎の一つに、ど うすれば、インビテーションが届くのかというものがある。過去にゆかしメディア読 者からも質問が寄せられたことがあるほどだ。今回は、実際にホルダーである40代社長に疑問を解き明かすべく話を聞いた。
◇入会条件は謎のセンチュリオン
スニーカーにトレーナーというごく軽装で待ち合わせ場所に現れた一人の男性。この男性が今回登場してもらうことになった、東京・港区在住の会社社長・田中一郎さん(仮名、40代前半)のアメックスセンチュリオンホルダーだ。
「クレジットカードは第三者による信用格付けによるものなの で、たとえ相手との見えないヒエラルキーがあっても、ある程度のギャップを埋めてくれると思います。(飲食店などの)支払いの時などは、どうしてもチラッと見てしまいますよね。その時に『こいつは何かに秀でているのではないだろうか』と見られることもあります」
読者のみなさんも、日常の支払いの場所などで実際にアメックスセンチュリオンカードを見たことがある人もいるだろう。 このカードの存在を知っている人ならば、見れば、ホルダーに対して一目置くこともある。
本当の意味で切り札となる一枚なのだが、日本国内はもとより、世界でも会員数は非公開。さらに入会条件も公表されておらず、例えばJCBの最上位カード「ザ・クラス」は年収1500万円以上とも言われることがあるが、アメックスプラチナやセンチュリオンにはそうした基準さえ明示されていない。
では、どうすれば、入会できるのだろうか。
アメックスではまずその前に、グリー ン、ゴールド、プラチナというマイナーリーグからの昇格の道をたどっていかなければならない。センチュリオンは1日にしてならずということで、その下のグレードの説明から入る。
◇取得まで13年の日々
田中さんがアメックスカードを取得したのが24歳時。勤務先の会社との提携関係もあって容易に入会できたそうだ。ただ、ここはあくまでもスタートで、ここからア メックスセンチュリオン取得には13年の月日がかかっているのだ。
グリーン24歳 ⇒ ゴールド26歳⇒ プ ラチナ27歳⇒ センチュリオン37歳
結果として上記のような「叩き上げ型」の変遷をたどるのだが、意外に厳しい道のりであると感じた人も多いのではないだろうか。特にグリーンからプラチナまでの期 間は約3年と短いものの、センチュリオンへの道のりが長い。もちろん、一生涯メジャー昇格できずに終わる可能性もあったわけだが。
ゴールドはさほど難しくないが、プラチナ取得が一つの関門でもある。田中さんは27歳時に転職した会社で、年収1000万円を突破した。また、同僚や先輩にプラチナホルダーがたくさんいたこともあったそうで、使用していればインビテーションが来たのだという。
まずはプラチナの壁を超えるためには、もし読者の方が社員の平均年収が高い企業などに勤務していれば、同僚や先輩に訪ねてみれば良いだろう。おそらく、プラチナ ホルダーはそれほど苦もなく見つけることができるはずだ。そこで、何らかのアドバイスをもらえることだろう。
リーチ状態になったことで、あとはメ ジャーリーグから、お声が掛るのを待つだけだ。
◇リーチ一発ベントレーで「上がり」
プラチナホルダーとなった田中さんは会社を退職し、30代前半で独立して事業主となった。「カード会社は、そのユーザーがロイヤルカスタマーかどうかを見ていま す。電力料金はうちで支払っていないな、とか。だから、あらゆる支払いを集中させないといけません」という。
だからと言って、支払いを集中させてみたところで、どれくらいの金額を使えば良いのか基準さえわからない。
田中さんは「わたしは事業の決済と、生活費を込みで、月2、300万円をアメックスプラチナカードで決済していました。カードだろうと現金だろうと関係ないし、あえ て現金で支払うという意味が私にはわからないです。支払いを翌月にできるという点でも意味がありますので」と語った。
確かに、毎日、高級レストランに行ったとしても、月額2、300万円は到底いくことはない金額だ。これはサラリーマンでは、 なかなか使えない手法だが、田中さんは、 正確に覚えていないというが、累計金額で数千万円から1億円くらいはプラチナでの支払いを行ったそうだ。
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やはり高額決済は必要ではないかと思われる。アメックスのカードで戦車や飛行機まで買えたなどという根も葉もない噂もあるが、実際にとんでもないものが買えたそうだ。田中さんの知人が使った手でこんなやり方があったそうだ。
アメックスプラチナで、高級車ベント レーを決済したそうだ。田中さんによると、おそらく事前にカード会社など関係各位への通知は必要になるのではないか、という。それでも、ベントレーは3000万円クラスの高級車であり、まさに、リーチ一発ベントレーで上がり、アメックスセンチュリオンを手にした。
◇まさかのインビテーション放置
「正直、取れるかどうかわからなかった」と話す田中さんの手元にアメックスセンチュリオンからのインビテーションが到着した。かつては、フタを明けると真ん中にポツンとカードが厳かなたたずまいがする黒い箱が届いたようだが、どちらかと言えば簡素な雰囲気の黒い正方形の封筒が届いたという。
中身はもちろん、インビテーションだった。専用デスクに電話をかければ、カードが送られてきて、使用の権利が付与される。
しかし、田中さんは迷いなのかどうか、 1年間くらい放置していたのだが「男だし、ビビッていたらダメだろう。さらに稼いでやろうと思いました」と結局は取得し た。ただ、放置していても大丈夫なのか疑問がわいてくるが「(人数の)枠が管理されていて、タイミングによっては、ウェイティングもあるのかもしれません。その時は入会できないのかもしれません」。
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アメックス公式サイト上にはセンチュリオンの案内は存在していない
年会費は一度値上がりを経て、現在は36万7500円となっている。 2007年までは、16万8000円だったために、そこから倍以上の値上げとなっている。カード会社はリボ払いやキャッシングが売り上げの大半を占めるために、総量規制の影響を受けての値上げではないか、と見る向きもある。
田中さんは、それでも1月あたり3万円として年会費が高いと見てはおらず、むしろ「(高級料亭などで)店長が見送りに出てきたり、一度も名乗っていないのに、名前で呼ばれたり。取引銀行でカードの話題になると、『支店長を連れてきます』と言われたり。でも、ヘタに見せると営業されますが」とVIP待遇には満足しているという。
また、現在は100万ポイントほど溜まっているそうだが、これらポイントは飛行機の運賃に使うそうで、飛行機の支払いはここ数年、経験していないそうだ。
では、アメックスにそれ以上のカードがあるのかどうか。
◇センチュリオンの上は?
良く言われているチタンカードについては、さらに上級のカードというわけではなく、セカンドカードとしての役割を担うもの。申請すれば、発行される。
大王製紙の井川意高元会長の著書「熔ける」には、アメックスセンチュリオンが数カ所も登場するのだが、さらに上級カードの存在をほのめかしている記述もある。ちなみに、自身が起訴される前に使用が差し止めにされていたそうで、その基準についていつか問い合わせてみたいとの疑問を呈 しているところがオチにも使われていたり、エピソードが登場する数少ない書籍の一つでもある。
もしも、その上のカードがあるとしたら、どうか。田中さんは「海外の富裕層はスケールが桁はずれですから、その上があったとしても不思議ではありません。も し、あったら、無理やりにでも頑張って、入ってみたいです。人生は一度きりですからね」と語っていた。
今回は、アメックスセンチュリオンの取得方法について、実際のホルダーの経験を通して伝えてきたが、正解は一つではない。年収もそれほど高くないサラリーマンが保有している、などの情報もある。そういう意味においては、誰もが手にできる可能性はある、ということか。
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