菅義偉官房長官は5日午前、那覇市内のホテルで沖縄県の翁長雄志知事と約1時間会談した。米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設については、菅長官が「唯一の解決策だ」と理解を求める一方、翁長氏は反対を主張して平行線だった。翁長氏は安倍晋三首相との面会を求め、今後も政府と県が対話することでは一致した。
菅長官と翁長氏の会談は、昨年12月の翁長氏の知事就任以来初めて。
菅長官は「基地問題で最重要なのは、普天間の危険除去だ。辺野古移設の断念は普天間の固定化にもつながる」と訴えた。「政府は関係法令に基づいて辺野古埋め立てを粛々と進めている」と説明した。2013年に日米が米軍嘉手納基地以南の施設・区域返還に合意したことなどに触れ「安倍政権は負担軽減のためにやれることはすべてやる」と強調した。
米軍普天間基地移設についての会談で握手する菅官房長官(左)と翁長沖縄県知事(5日、那覇市)
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米軍普天間基地移設についての会談で握手する菅官房長官(左)と翁長沖縄県知事(5日、那覇市)
これに対し、翁長氏は「辺野古に新基地はできないと確信を持っている。県民に大きな苦しみを与え、危険除去のために負担しろという話をすること自体が日本国の政治の堕落だ」と反論した。昨年の知事選や県内の衆院選4小選挙区で辺野古移設反対派が勝利したことを指摘し「県民の圧倒的な反対の考え方が示された」とも語った。菅長官の「粛々と進める」との発言に関し「上から目線だ」と抗議した
両氏は今後も政府と沖縄県が対話することでは認識が一致し、菅長官は記者団に「これから国と県が話し合いを進めていく第一歩になった」と語った。首相と翁長氏との面会に関しては「具体的にどういう形か聞いていないので、沖縄の考え方を聞くなかで進めていきたい」と述べた。
ただ、翁長氏は会談後、記者団に「基地問題で後退することはない」と述べ、今後も辺野古移設に反対の考えを変えないと強調した。