HIVウィルスに次ぐ脅威? 慢性疲労症候群はレトロウィルスの流行か
1 : ミュージックベル:2010/12/17
「取れない疲れ」の原因を探れ ―
原因も治療法も分からない慢性疲労症候群を解明するウイルス研究
■終身刑のような病気
ローラ・ヒレンブランドが数年前に自らのつらい体験をつづった文章は、
いま読んでも身につまされる。
03年にニューヨーカー誌に寄せたエッセーで、
ヒレンブランドは関節の痛み、リンパ節の腫れ、吐き気、疲労感について書いた。
むなしく医者を転々とした日々。無関心、恥辱、軽減しない症状。
意識がもうろうとして、単語は意味を失い、思考は消えた。
「世界が遠く感じられた」と、ヒレンブランドは書いている。
「透明なビニールにくるまれているかのようだった」
CFSという病気自体が何十年もの間、
医学的にも科学的にも幾重ものベールに包まれてきた。
ヒレンブランドが87年に発症して以降、
全米で400万人もの患者がいるこの病について、医師の関心は高まり、
研究者は原因についてさまざまな仮説を立てている。
とはいえ一気に前進とはいかないようだ。
今年8月、米国立衛生研究所(NIH)と米食品医薬品局(FDA)の共同研究チームが
CFS患者の血液中にレトロウイルスを発見したと発表した。
昨年も同様の報告があり、原因と治療法の特定に期待が高まった。
しかしこの夏発表された疾病対策センター(CDC)の研究では、
ウイルスとの関連性は見つかっていない。現在は、コロンビア大学の
著名なウイルス学者らによる全米規模の研究に期待が寄せられている。
(中略)
患者は科学的確証を求めている。昨年発表された研究では、
ネバダ州にあるウィットモア・ピーターソン研究所(WPI)の
ジュディ・ミコビッツらが、
XMRVという感染性レトロウイルス(HIVと同系統)が
CFS患者の67%で血液中に存在することを突き止めた。
ウイルスが原因である可能性は、人々を不安にさせている。
ある国際的な血液バンク協会は今年、
ウイルス感染を懸念してCFS患者は献血を
控えるよう勧告した。アメリカ赤十字に至っては、
CFS患者やXMRV感染が判明した
人の献血を無期限に延期している。