はじめに
1984年,米国ネバダ州インクラインという人口約2万人の
町で,激しい疲労感とともに,脱力,全身の痛み,思考力・
集中力の低下などの症状が長期に続くため,日常生活や社会
生活に支障をきたすような患者の集団発生(約 200 名)がみ
られた1)
.
当時,アメリカでは慢性活動性(epstein–barr:EB)ウ
イルス感染症が同様の症状を引き起こすことが知られていた
ことにより,米国疾病対策センター(Centers for Disease
Control and Prevention:CDC)が組織した研究者グループ
はその病因としてウイルス感染症を考え,EB ウイルスをは
じめとした種々のウイルス解析を実施した.しかし,当時の
調査では不可解な病態の存在は確認されたものの,明らかな
病原ウイルスを同定することは出来ず,病因解明に向けて調
査対象を明確にするための 1 つの基準を 1988 年に設定した.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/33/1/33_40/_pdf