フジテレビによると、連立を組む公明党の幹部は「9条を持ち出すなら連立を離脱する」と明言しているという。斉藤鉄夫幹事長代行も、改憲についてラジオ番組で「そこまで盛り上がっていない」とクギを刺している。
もし、公明党が連立から離脱したら、安倍政権は参院で3分の2を失い、改憲は不可能になる。それどころか、安倍首相の“総裁3選”も吹っ飛ぶのは確実だ。これまで“下駄の雪”となり、自民党の言いなりになってきた公明党は、本当に連立から離脱するのか。
「公明党は憲法9条の改定だけは、本気で止めるつもりです。やはり、10月の衆院選で大敗したことが大きかった。5議席も減らしただけではなく、初めて比例票が700万票を割ってしまった。敗因は、公明党の党是は平和なのに“安保法”や“共謀罪”に賛成したことでしょう。支持母体である創価学会の会員が離反してしまった。創価学会の婦人部は、反戦や平和に対する思いが強いですからね。もし、公明党が9条の改定に賛成したら、支持離れが決定的になってしまう。ただ、9条改定に反対しても、連立離脱はせず、与党内野党に徹するはずです。いずれにしろ、公明党の賛成を得られず、安倍首相が9条改定を強行するのは難しいでしょう」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
公約した9条改憲の発議を実施できなければ、保守派を中心に批判が強まり、安倍首相の求心力が急降下するのは確実。
■“安倍降ろし”加速の可能性も
ただでさえ、安倍首相に対する“飽き”が国民と自民党に広がっているだけに、来年秋の総裁選は出馬断念に追い込まれてもおかしくない。実際、改憲を断念したら、もう安倍首相にはやることがない。
「安倍首相に“飽き”がきているのは、公明党も同じです。総裁に3選されたら、あと3年も続くことになる。もちろん、表立って“安倍降ろし”はやれないし、やらないでしょうが、自分たちと考え方が近い首相を誕生させたいのがホンネです。