米国の法人税率が日本を下回る水準に引き下げられる見通しとなり、日本でも税率引き下げを求める声が強まってきた。企業の自国への誘致を目的とした国際的な税率引き下げ競争は激化の一途をたどる。こうした動きをにらみ、近年は日本も段階的に法人実効税率を下げてきたが、経団連はさらなる税率の引き下げが必要とみて、米国より低い税率実現を求める方針だ。
「今後の日本の法人税改革の議論で、(実効税率)25%への引き下げを求めていきたい」。経団連の榊原定征会長は18日の会見でこう述べ、日本の国・地方を合わせた法人実効税率を現行の29.97%から25%まで下げるよう求めていく考えを明らかにした。
今回の米国の法人税の引き下げにより、米国の法人税率は国・地方を合わせたベースで日本やドイツ、フランスなど主要国より低くなる。ただ、フランスはマクロン政権が現在33.33%の税率を段階的に引き下げて2022年に25%にする案を公表。英国も現行19%の法人税を20年に17%まで下げる方針を示しており、各国と日本の税率差がさらに広がる可能性もある。
こうした状況が続けば、「日本企業の国内投資意欲がそがれ、税率の安い海外へのシフトが加速する」と、ある経済団体の幹部は懸念する。こうした事態を踏まえ、榊原氏は「米国の減税の事例を活用し、経済協力開発機構(OECD)平均の25%までの引き下げを働きかける」という。