24、25の両日に行われた衆参両院予算委員会の閉会中審査では、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設問題で
「加計ありき」を主張する前川喜平前文部科学事務次官の証言を崩す発言が参考人らから相次いだ。それでも、朝日新聞などは大きく扱わなかった。
もはや報道の多くは「前川証言ありき」の様相を呈している。
前川氏は24日の衆院予算委で、平成28年9月に和泉洋人首相補佐官との面会の際に、
和泉氏から「首相は自分の口から言えないから、代わって私が言う」と獣医学部新設を進めるよう指示されたと改めて主張した。
前川氏はこの“指示”を「加計ありき」の根拠としているが、和泉氏は「加計学園には一切触れていない」と否定した。
朝日新聞は25日付朝刊1面トップで「首相側近『記憶ない』連発」と報じた。
和泉氏については「記憶にない」と繰り返したことを強調、前川氏については自身の記憶と記録に基づいて和泉氏との面会のやりとりを「詳しく語った」と表現し、
和泉氏と前川氏の違いを際立たせた。
25日の参院予算委では、旧文部省OBで、愛媛県今治市への獣医学部誘致を推進していた加戸守行前同県知事が
「(前川氏は)テレビの取材で虚構の話をした」と述べ、
「想像を事実のように話している。精神構造を疑う」と厳しく批判した。加戸氏の発言に対して前川氏は慌てたような対応を見せたが、朝日は詳報も含めて完全に無視した。
26日付朝刊の朝日などは、安倍晋三首相が加計学園の学部新設計画を国家戦略特区の申請が認められた今年1月20日に初めて知ったことを取り上げた。
首相と学園の加計孝太郎理事長が友人関係で、ゴルフや食事を重ねていると詳報し、毎日新聞は「不自然答弁さらに」と報じた。
朝日は25日付朝刊の記事「加計疑惑 証拠なき否定」で「『加計ありき』をうかがわせる文書や証言を否定するような証拠が示されたわけではなく」と書いた。
「加計ありき」を「うかがわせた」前川氏の言動こそ信憑性が高いと決めてかかったような書き方だった。