月は昼と夜がものすごく長いんです。たしか2週間ぐらい続くということで、そうなると温度差が問題になる。そこで月の赤道上を全部運河にして、熱を運搬するという設定にしました。おそらく昼の側と夜の側の温度を、なるべく変えない構造をベースに文明が構築されているはずだろうと。水は重要な酸素の供給源でもあるし、熱を得るために太陽光が当たることは重要です。
そこで藻類が増えてしまうと日照が妨げられてしまう。そうなると運河の苔落としをする職業が必要になるわけです。
彼らは宇宙線、放射線をもっとも浴びるので、非常に被曝率の高い人たち。それに対応するよう遺伝子操作で被曝に強い、黒っぽい肌になって……と考えているうちに、それがロランに繋がっていったんです。よくロランは黒人みたいに言われますけど、対放射線人種なんですよ。
そしてロランは月の民族のカーストの中では、一番最下層の危険な仕事をする人の一人。その設定が自然に出来上がったという感じですね。
森田繫