「おーいイワシが釣れたぞー」
そういって帰ってきたおやじは実に3年と6ヶ月ぶりの帰宅であった
俺は驚きを隠せなかった
「お、おやじそのイワシ鮭だ」
俺が動揺するのも無理はないおやじが高々と掲げイワシだと宣言したそれはどうみても鮭なのであった
しかも鼻先が短く曲線な所を見るとメス鮭だろう
俺はおやじにイワシは海に生息すること鮭は川に生息することを説明したがどうも納得してくれず
しかも苛々しはじめ仕舞いには元々ボロボロで地肌が見えていたペリカンが無数にかかれたアロハシャツを歯で食いちぎり始めた
その様子を見かねた俺は母を呼ぶことにした
「母さんおやじが癇癪起こしてまともに聞いてくれない」
俺は母に告げた
「なに言ってるの父さんならここに居るぞ」
リビングから帰ってきた声は間違いなく父さんの声だだがそれでいて違う
なぜなら彼は父さん2号だからだ
やれやれこれから波乱の展開になりそうである
俺は今にも泣き出しそうな低い空を見て陰鬱な溜め息を漏らした