この本の最初に彼女が高校入試に失敗したことが書いてある。
>中学校での成績は、全国模試での成績を見ても首都圏で最難関の国立大学付属高校等への合格は確実だと思われていた。ところが周囲の人々の期待を裏切り、たまたま滑り止め に受けた高校以外合格することができず、強い挫折を経験した。
「周囲の人々の期待を裏切り」という感覚は、小保方氏の中にずっとある気持ちなのだろう。「はじめに」においても「私は誰の期待にも応えられない自分に失望ばかりの人生を歩んできました」と述べている。根底にこの気持ちがあるため、彼女は無意識のうちに人に、特に年上の男性研究者に好かれようと行動しているのかもしれない。何度か述べたが、彼女の行動には「受け身」的なところがある。不正が認定された後の会見においても、自ら「再現実験をしたい」とは主張せず、「誰かが再現実験を行うならば行ってアドバイスしたい」などと頓珍漢な答えをしている。「受け身」ということは、裏を返せば「相手に合わせたい」「相手の期待に応えたい」ということだろう。
第二点目は、小保方氏がバカンティ研究室のポスドクでありながら、なぜ実質的には若山研究室で研究をしていたかがわかったということだ。小保方氏は、博士号取得後にバカンティ研へ行くことになっていたが、就労ビザの発給が遅れたために一時的に若山研究室で実験をすることになる。そこで若山氏から、若山研究室の研究員の誘いを受ける。これから行う実験を考えた場合、バカンティ研よりも若山研の方がずっと環境がよいことから、小保方氏は若山氏の誘いを受けることにする。バカンティ氏からすると、若山氏の下へ行かれてしまうと、バカンティ研でのアイデアに基づく研究の成果を取られてしまうおそれがあった。それを防ぐために、バカンティ氏は「研究は若山研、所属はバカンティ研」と提案した。
この説明だと、「小保方氏は若山研のポスドクであった」ということにおそらく間違いはないだろう。