【コラム紹介】大手ジャーナリズムは何やってんだ|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま #4

4番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2020/12/19(土) 11:53:38.50 ID:Dm/HsX09

大手メディアがやっていたこと
 赤旗日曜版は見過ごしそうなツイート。秋田魁新報は報告書の小さなほころび。それを「おかしい」と感じるセンサーと地道な取材がスクープにつながったといえるだろう。が、この話にはまだ先がある。スクープが出ても、他社の反応は鈍かったのだ。
〈大手メディアがこの疑惑をとりあげることはありませんでした〉と赤旗取材班は書く。一一月八日、共産党の田村智子参院議員が国会でこの件について追及した後でさえ、出たのは囲み記事やベタ記事だけ。大手新聞がようやくこれを大きく報道したのは、野党共闘による追及チームが発足し(一一月一一日)、SNSで騒ぎになり、テレビのワイドショーが報じた後だった。
 秋田魁の場合は、毎日新聞とNHKが翌六月六日に後追い報道をしたものの、全国紙が本格的に動くのは、防衛省の住民説明会で職員が居眠りしていたと報じられ(六月八日)、野党共闘による合同ヒアリングが開かれた(一三日)後である。
 なぜこうも反応が鈍いのか。『赤旗スクープは、こうして生まれた!』は「大手新聞の幹部」の声を紹介している。〈「桜を見る会や前夜祭の実態を大手メディアはみんな知っていた。しかし、『首相主催だからしかたない』とそれ以上の問題意識を持たなかった。『私物化』という視点がなかったからだ」〉。
 南彰『政治部不信』も、〈「桜を見る会」をめぐっては、メディア側も厳しく問われることになった〉と述べている。各社の政治部の記者たちは、目の前で見てきた桜を見る会や前夜祭を問題にしなかったばかりか、政府批判が渦巻く中、安倍首相を囲むキャップ懇談会を中華料理店で開いていた(一九年一一月二〇日)。官邸の懐柔策にまんまとハマった記者クラブ。
 記者が政治家と会食するのは〈私的な領域である食事をともにすることを通じて、取材相手が「公」の仮面を脱ぐ〉、その機会を狙うためだとされてきた。だが実際はどうか。重大な疑惑は、一政党の機関紙や一地方紙の調査報道から出てきたのだ。
 新聞労連が官邸記者に行ったアンケート調査(一九年五月)では、「読者・視聴者から期待されている役割」は「権力の監視」が41.9%、「政府の公式見解の確認」が45.2%、「あなた自身が重視する役割」も前者が35.5%、後者が41.9%。どちらも「政府見解の確認」が「権力の監視」を上回っている!
 彼らが反省していない証拠に、同じことはいまもくり返されている。学術会議の任命拒否問題で政権への批判が噴出する中、総理番記者たちは菅首相主催のオフレコ朝食懇談会に参加していた。場所は原宿のパンケーキ屋(一〇月三日。朝日新聞、東京新聞、京都新聞は不参加)。あまりのバカバカしさに、めまいがしそうだ。

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