QUICK・ファクトセットによると、実際にソニーやソフトバンクグループなど主要な日本株に投資する「JPモルガンベータビルダーズ日本ETF」は、2月に入ってからの資金流出額が現時点で10億ドル（約1120億円）を超えた。三菱UFJモルガンの藤戸氏は「2019年10～12月期の実質国内総生産（GDP）が年率換算で6.3%と急減するなど、日本経済の先行きに対する懐疑的な見方から売りが出ているのだろう」と分析する。
景気敏感セクターとされる鉄鋼株は、既に景気減速を織り込む動きが顕著だ。日本製鉄株やJFEホールディングス株は数年来の安値圏に沈む。ばら積み船市況を総合的に表すバルチック海運指数も2016年以来の低水準で推移しており、海運株も軟調な場面が目立つ。
東京証券取引所が20日に発表した2月第2週（10～14日）の投資部門別株式売買動向（東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の合計）によると、投資信託は988億円と5週連続で売り越し、信託銀行は467億円と10週連続で売り越しだった。市場では「株価上昇のタイミングで、決算期末を控えた売りや年金基金などのリバランス（資産の再配分）目的の売りが出ている」（国内証券ストラテジスト）との指摘が出ていた。海外、国内とも中長期の投資家が粛々と日本株に売りを出している構図がうかがえる。