陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の東日本での適地選定をめぐる調査データに誤りがあった問題で、防衛省は14日、岩屋毅防衛相が17日に秋田県を訪問すると発表した。防衛省が「唯一の適地」とする秋田市の陸上自衛隊新屋演習場について、地元から選定の正当性を疑う声が高まっており、岩屋防衛相が佐竹敬久知事らと会談し、データの誤りやその後の住民説明会での職員の居眠りなど対応の不手際を謝罪する。
イージス・アショアの西日本での候補地、山口県でも今回の事態を受けて山口での調査に不信感が出ており、岩屋防衛相は同県も早期に訪問する考え。
岩屋防衛相は14日に記者会見し、「(秋田訪問で)直接おわび申し上げたい。防衛省で総力をあげて不信の解消と、理解を得られるよう全力で取り組む」と強調。計画実施の態勢を強化するため、原田憲治副防衛相を長とする整備推進本部を省内に設置すると明らかにした。その上で、2020年度予算の概算要求で、配備予定地の敷地造成費や建屋整備費などを計上しないとの認識を示した。
また、秋田への説明資料では新屋演習場での津波対策に関する記載はなかったが、演習場内の候補地の一部が津波の浸水域に該当していたことが発覚。だが、岩屋防衛相は起伏がある予定地を敷地造成すれば津波の影響を受けなくなるとし、新屋演習場を適地とする考えは変えなかった。
調査データの誤りは、原田副防衛相が「(新屋演習場に)安全に配備運用できる」とする検討結果を示した約10日後に発覚。同演習場と比較した青森、秋田、山形県の国有地など19カ所のうち、レーダーの電波を遮蔽(しゃへい)する付近の山までの仰角を調べた9カ所全てで角度が過大だったことで、「新屋ありきだったのでは」との疑念が高まった。さらに、今月8日の住民説明会で東北防衛局の職員が居眠りをして怒りを買った。
これらを受け、佐竹知事は「このままでは前向きの協議に応じることはできない」と批判している。【町田徳丈、川口峻】
https://mainichi.jp/articles/20190614/k00/00m/040/400000c