昔々あるところに夫婦がいて奥さんが病に伏していた
奥さんは男に「油を飲みたい」と言ったが油を買うようなお金は家になかった
当時油は薬であった
奥さんはどうしても油が欲しいといって聞かなかったので
男は街に繰り出したがやはり手持ちの金で油は買えなかった
しかし街の大金持ちが家の前で乞食たちに油を喜捨しているではないか
その場で飲むぶんだけくれるが持ち帰りはできないという
男は思った「たらふく飲んで家に帰って吐き出そう」
男は油を大量に飲んだが吐き出せるわけもなく
ただ死ぬほど苦しんでのたうち回っただけだった
仏陀はそのさまを見てこう歌った
「ああ持てないのは良いもんだ
ああ持てないのは賢いもんだ
持てる者が苦しんでるのを見てみろ
あれは人が人に心を縛られているのだ」