築地市場（東京・中央）は6日の閉場後、11日から解体工事が始まる。
1935年の開業当時の面影を残す古い建物など、2020年2月までの工期で155棟が対象。
解体時の課題となるのが、長年市場にすみ着いてきたネズミ対策だ。
外に逃げ出さないよう、都などは封じ込めに躍起だが、
近隣の商店や住民からは不安の声が上がっている。
鮮魚の切れ端などのエサが豊富で、身を潜める排水溝などのある築地市場は
ドブネズミやクマネズミの格好のすみかだ。都の調査でも総数は「算定不能」。
閉場後、エサがなくなることで周辺に一斉に逃げ出す恐れが指摘されてきた。
築地市場の周囲には、場外市場など飲食店が多く立ち並ぶほか、
国立がん研究センターなどの医療機関もある。
引っ越しの荷物に入り込めば、豊洲市場（東京・江東）にもついてくる可能性もある。
病原菌を持ち運ぶリスクが高いネズミへの懸念は強い。
都はネズミ駆除を進めている。5月に699匹、8月に739匹を捕獲。
9～11月は粘着シート計3万9千枚や殺鼠（さっそ）剤320キロ、
捕獲かご600個を投入していく。場外につながる雨水管2カ所にもネットを張り、
外周のフェンスの隙間から抜け出さないように波状の板を設置するなど対策を講じている。
解体時の課題はほかにもある。古い建材などに使われ、吸い込めば
健康被害につながるアスベストが市場の55棟で確認されている。
都はシートやパネルで3重に密閉するなどして、外部への飛散を防ぐ考えだ。
近隣住民には不安が根強い。9月20日、東京都が近隣住民向けに開いた
解体工事の説明会では、「病院にネズミが入ったらどうする」などと
参加者から質問や意見が相次いだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36226640W8A001C1CZ8000/