だが前出の吉田さんの考えは少し違っていた。
「こう言ってはなんだけど、実はオレはさ、50万円でも貰えないよりはマシかなとも思ったんだ。
道所有の発電機や組合のものは、補償されるだろうけど、個人所有のものは 補償するって話にもならないかもしれないしね。
今日(1月5日)だって、もうじき漁が始まるから磯舟の巻き上げ機をやっと島に設置してきたんだけどさ……」
心配はもっともだ。だが、そこは日本である。松前町には、全国各地から寄付金の申出が殺到。町と漁協は「復旧協議会」を立ち上げ、寄付金の口座を開設した。
「いただいた寄付金からは、吉田さんの被害を優先的に充てたいと思っています。小屋がないと漁に出たみんなが困りますからね」とは佐藤組合長だ。
今年の漁も間もなく始まる。冬の松前は、松前小島の岩場で捕れる岩のり漁が盛んだ。
小屋の復旧がまだできていないため、泊まりがけでなく日帰りでの漁が続く。そのため例年の量は期待できないともいうが、なんとかのりきってもらいたいものだ。
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