陸上自衛官募集で高校生宅訪問 道教委、自粛再要請へ
道教委の柴田達夫教育長は２８日、陸上自衛隊の自衛官が住民基本台帳で入手した個人情報を基に高校生宅を訪れ、
募集活動をしていることについて「民間企業と同様、学校の協力の下で行うよう求める」と述べ、戸別訪問の自粛を要請する考えを示した。
自衛隊の戸別訪問には保護者や教育現場から戸惑いの声が上がっているが、自衛隊側は「良質な隊員確保に戸別訪問は重要」と強調している。
同日の定例道議会の一般質問で、共産党の佐野弘美氏（札幌市北区）に答えた。
道教委は毎年７月、募集活動は学校を通じて行うよう自衛隊に求めているが、改めて要請する。
自衛隊は自衛隊法などで、自衛官の募集事務の一環として、住民基本台帳の閲覧を市町村に求めることが認められている。
陸自北部方面総監部（札幌）によると、道内ではこれに基づき高校３年生の氏名、生年月日、住所、性別の情報を市町村から集め、
毎年８～９月を中心に全道で戸別訪問しているという。
厚生労働省は、民間企業の採用活動について、知識や経験の乏しい高校生への家庭訪問を禁止する「要領」を定め、各地方労働局に通知している。
しかし、企業ではない自衛隊は対象となっていない。
道教委によると、道内の高校には保護者から「自衛官が来たが、住所を教えているのか」などの問い合わせが来ているという。
道教委は、昨年も「保護者の誤解や不安がないよう、学校や家族との信頼関係を保ってほしい」と、自衛隊側に求めている。
昨年８月、自衛官の訪問を受けた旭川市内の５０代主婦は「個人情報が知られていて怖い」と語った。
生徒が戸別訪問を受けたという高校教諭は「入隊希望者向けに自衛官を招いた説明会を毎年開いている。
生徒では聞けない点を教員が質問する必要があり、民間も自衛隊も学校を通じた採用活動が基本だ」と話す。
北部方面総監部は「道教委から要請は受けているが、戸別訪問を行うのは（説明会開催など）学校から十分な協力を得られていない背景もある」と話し、
今後も戸別訪問を継続する考えだ。
自衛官の人権問題に詳しい佐藤博文弁護士は「戸別訪問では給与体系などの安定性や災害派遣の貢献など利点しか言わない可能性がある。
安全保障関連法成立による活動内容の変化も説明されているのか疑問だ」と話す。
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