超映画批評「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」40点(100点満点中)
http://movie.maeda-y.com/movie/02014.htm
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本作の大きな問題は、そのようなコンセプトで作られたはずの実写版が、原作漫画より漫画チックになっている点である。
ほとんど唯一、石原さとみ演じるハンジだけはバカ度が突き抜けていて面白いが、それ以外のキャラクターやストーリー、演出には痛々しさが激しく感じられて見ていられない。漫画を実写化したらラノベになりました、ではいくらなんでも狙いと違うのではないか。
たとえばリーダーの石原さとみが出撃直前、「巨人たちは音に敏感だからしゃべるな、叫ぶくらいなら舌を噛め!」とブリーフィングしてくれるのだが、なぜエレンはじめ兵隊たちは進軍しながらペチャクチャと無駄話をし続けているのか。
もちろん訓練不足の寄せ集めという設定なのはわかる。だが1分前のおかあさんのいいつけレベルも守れないのはそれ以前の問題だろう。調査兵団は2歳の赤ちゃん以下か。
いつこのおバカさんたちの声を聴きつけて巨人がやってくるか、気が気でない観客をさらに驚愕させる出来事が起こる。
長谷川博己演じる無敵のシキシマ隊長が、なぜか平均台遊びをしながら戦いの極意をエレンに教える場面である。ここでシキシマ隊長は、涼しげな顔でりんごを食いながら、おまえのオキニは俺のセフレだよーん、と唐突かつ意味不明な自慢を始める。
展開が素っ頓狂すぎて、すでについていけない観客とは裏腹にエレンはブチギレ、まわりは巨人の巣だというのに全力で叫び出してしまう。うわあああ、僕の彼女がぁ!!
すわ巨人化かと思いきや、別の女に「そんな大声出して、あんた巨人をおびきよせるつもり?」などとたしなめられると一瞬ではっと我に返る。おいおい随分冷めやすい怒りですな。
……どこをどうみても、1ミリたりともあり得ないドラマ演出だが、ほかの連中も負けてはいない。
たとえば人類の行く末をかけた作戦中になぜかセックスをおっぱじめて、その隙を巨人に襲われるとか、何をどう考えたらそういうキチガイじみた筋書きになるのか、必然性も面白味もまったく感じられず、ただただ唖然とするほかない。