20220729a
どくとりん
9784065175651
どんな学校にも集団を仕切る生徒が存在するそうした力関係を知るには休憩時間の校庭を見てみるといい影響力があるのはどの子かがはっきりわかる影響力の源は一つとは限らずたとえば体が大きくて強いスポーツができる家庭が裕福である先生のお気に入りであるといった条件である通常そういう周りには取り巻きがいる彼らは追従笑いをしあおり立て誉めたたえるたとえ自我を失ったとしてもおべっか使いになるほうを選ぶのである一方グループに抵抗しながらまずまずの学校生活を送る子どもたちもいる派閥はつくりたくないとか影響力ある立場にはなりたくないタイプの子たちだ彼らは自分を大切に自分らしく生活できれば満足であり不適切な行動にはかかわりたくないと考えるここまでに挙げた類型に当てはまらないタイプもいるどんな集団とも距離を置きどんな活動にも参加しないと決めている子どもたちだリーダー取り巻きマイペースかかわらないこういう図式が見られるのは学校に限らないどこにでも当てはまるさまざまな影響力を持つ強国がせめぎあう国際社会においても同じことがいえる第４章まではどんな目的ために何をしようとしているのかという地政学的な目的について見てきた次のステップではこれらの目的をかなえる地政学の政策を展開するつまりどんな影響を与えどう支配して操るのかを分析する過去から現在まで使われてきた地政学にもとづく支配のための政策を振り返るとその多くが繰り返し利用されてきたことがわかる包囲と逆包囲の戦略では敵を弱体化させ自身の権力的立場を確率するために相手の戦略的拠点を支配したりプレッシャーをかけたりする最強の敵をぐらつかせるためには相手の弱点を見つけ出してそこを狙うことが有効どんな強国にもアキレス腱がある以上どれだけ強く無敵に見えてもいずれそのアキレス腱を見つける賢い敵は現れるどんな強国にも致命傷となりうる弱点がありそこに支障をきたすと完全にバランスを失うこともある強国の骨組みを崩したりばらばらにしたりする戦略は少なくともローマ帝国時代からあった敵対する相手が多民族国家の場合その社会を不安定な状態に陥れやすい軍事力で敵を倒せないとしても敵の内部に不和の種をまき強固でとても入り込めないと思われていた壁を砂でできているかのように崩壊させる試みならさほど力を持っていなくてもできる上手な侵略方法とはまず相手国内の少数派を支援して多数派に反発するように仕向け権力層を弱体化かさせること強力な敵を倒したいと思えば精緻で組織的で注意深く狡猾な努力を続け相手の小さな弱点やエリートたちの弱点にさえもつけ込めるようになること積極工作の実施にもっとも有効な方法は敵方の脆さを利用しすでに抱えている弱点をおおきくしていくこと