春うららかな、ある日、ある町、ある男
「…なんて美しい日だ」
昨日の天気予報は大きく外れ、太陽は桜の開花を祝うかのように暖かな陽気を放っている
花粉症に悩まされることのない俺は、ベランダで花々の香りを鼻に受け、自然への感謝を思っていた
今日みたいな一日を、無駄にしてはいけない
にわかに沸き上がった感情は俺を足早に玄関に向かわせた
現在の時刻 10時00分
遅めの朝食を先ほど取ったばかりでお腹は空いていない。これなら日中遊んでも大丈夫だろう
靴ひもをきつめに結んで外へと飛び出した
「まずはどこに向かうかなぁ」
近所にある山
▶ 駄菓子屋