この劫が転がり出したときには悪は存在しなかった
全ての生き物は光を放っていた
しかし食い物が少なくなってくると別のものを食わざるをえない生き物が出てきて容姿が悪化していった
容姿の悪化していない生物は悪化した生物を見て軽蔑した。ここにおいて「高慢」が現れた
この劫が転がり出したときには悪は存在しなかった
全ての生き物は光を放っていた
しかし食い物が少なくなってくると別のものを食わざるをえない生き物が出てきて容姿が悪化していった
容姿の悪化していない生物は悪化した生物を見て軽蔑した。ここにおいて「高慢」が現れた
何回か主食が変わった後、米が主食となった
米は耕作せずとも実った
白米の状態で実るので脱穀する必要もなかった
朝ご飯のために朝収穫すれば晩にはまた実っていて
晩ご飯のために晩収穫すれば朝にはまた実っていた
しかしある生物は朝晩のために一度に米を収穫することを思いついた
やがて収穫は二日に一度、四日に一度、八日に一度となり
一度に大量に収穫して残りは貯蓄で暮らすようになった
ここにおいて生物は「怠惰」を覚えた
すると米は糠と殻で覆われて一度刈ると成長しないようになった
収穫できないことも増えた
そこで生き物たちは米を皆で分配し限度を設けることに決めた
ある生き物が他人の分け前を取ることを思いついた
他の生き物たちは彼を捕らえて罵った
彼は改心すると口では言いつつ行いを改めなかった
ここにおいて「盗み」と「罵り」と「嘘」が世に現れた
犯罪と私刑が蔓延した
生き物たちは一番の善人を選んで彼に頼んだ
「これからはお前ひとりが罪を裁いて罰を与えろ
その代わりに米を献上してやる」
こうして王が生まれ身分の違いが生まれた
王は王子に代々こう助言した
「国の中で不法な行いを起こしてはいけない
そのためには富のない者たちに富を与えると良い」
しかしある代の王は富のない者に富を与えなかった
すると貧困が増え、盗みが増えた
そこで王は盗みをはたらいた者に富を与えだした
やがて噂が立った
「ものを盗むと王から富をもらえるらしい」
そのことに気づいた王はある盗人を捕らえた後
市中を引きまわして市外で処刑した
人々はそれを見てこう思った
「私たちも剣を持とう
そして盗人がいたら自分たちで殺そう」
彼らは村で虐殺を始め町で虐殺を始めた
また王に処刑させるために他人について「告げ口」を行うようになった