そう言うと俺のちんこは爆発した。
そう言うと俺のちんこは爆発した。
「そんな……。マイサン……。」
ついさっきまであんなに元気だったのに……。がくり、と膝をつき、俺は床に飛び散ったちんこの残骸を呆然と眺めた。
信じられなかった。長年、互いが持つやり場のない怒りを慰め合ってきた戦友ともいうべき存在の変わり果てた姿が。
ふいに、先ほどまで行われていた「戦い」の記憶がよみがえる。それはこれまで何度も使ってきた「オカズ」が発端で起こった戦いだった。
「へへっ、おい見ろよマイサン!この柔らかそうなおっぱいにぷりっとしたお尻!やっぱこの画像は最高だなぁ!」
「まったくだぜマイブラザー!こんかオカズそうそう見つかりっこねぇや!さっさと始めようぜ!俺たちのソウルをぶちまけてやらぁ!」
俺はいそいそと服を脱ぎ、既に臨戦態勢になっているマイサンを右手でつかんでいつものようにしごき始めた。
「くっ、ふぅっ、どうしたマイブラザー!普段のお前はこんな優男だったか!?全然ソウルが感じられねぇぞ!」
「馬鹿言ってんじゃねえ!本番はこれからだぜ!」
徐々に上がっていくボルテージ。あの時の俺たちを止められるものなどどこにも存在しなかった。
「ぐ、あああ!」
やがて、マイサンの先端から一塊の熱いソウルが飛び出した。俺たちの全てを込めた一発だった。
「はあ、はあ。まぁ今日はこんなところか。」疲れ果てた、といった様子のマイサンが言った。右手の中でマイサンが弱々しくなっていくのを感じた。それはこいつの癖だった。
だが俺はまだ不完全燃焼だった。俺たちの力はこんなものじゃない、まだまだいけると、その時はそう思った。
「なあマイサン、俺たちはそろそろ次のステージへ上がるべきじゃないか?」
俺がそう語りかけると、マイサンは少し顔を上げて
「次のステージ?どういうことだ、マイブラザー?」
と問いかけた。
俺はさっき使ったオカズを見てただ一言
「もう一発だ」
と答えた。マイサンがびくりと身を震わせたのがわかった。
「おいおい冗談だろ?いくらなんでも無茶だぜ。知ってのとおり、俺は一発出すとこんなになっちまうんだぜ?」
確かに、マイサンは先ほどに比べていくぶん頼りなかった。
それでも、すっかりダメになってしまったわけではない。右手の感触がそれを伝えていた。
「いや、マイサン。大丈夫だ。お前ならできる。俺とソウルを分け合っているお前なら。」
俺のソウルが伝わったのか、マイサンは体制を整え出した。
「しょうがねぇ。付き合ってやるよ、マイブラザー!」
「そうこなくちゃな、マイサン!」
再び戦いが始まった。だが初めての連戦に俺たちはかなり手こずった。
「うっ、あっ。やっぱり無理だ、マイブラザー!」
「諦めんじゃねぇ!俺たちはこんなもんじゃねぇんだ!」
「うおおおおお!」
俺もマイサンも全力だった。諦めるわけにはいかなかった。ものすごいやつが出る。そんな予感が俺の頭をかすめた。
しかし戦局は思わしくなかった。いくらしごいてもマイサンからはソウルが出てこなかった。
「マイブラザー、無理だ!これ以上はもういい!俺たちはよく戦った、もう十分なんだ!」
マイサンが叫んだ。
「うるせぇ!限界を……越えるんだ!」
俺の右手はかなりの速度で動いていた。あと少し……あと少しなんだ……!俺はこれまでにないソウルを感じていた。
ふいに、マイサンが肥大化し始めた。これだ、と思った。見たことのないようなソウルがもうここまで来ている。俺は最後の気力を振り絞った。
「いっけええええ!」
「マ、マイブラザー……やめ……」
「ぐ、あああああ!」
マイサンが叫んだ。その瞬間、マイサンは一挙に膨らみ、俺の右手では握っていられない程になった。
「え……」と思わず情けない声が出た。
そして、ばんっ!という大きな音とともに手に鈍い衝撃が走った。右手は何かぐちゃぐちゃしたものを握っていた。
股間を見ると、そこにマイサンの姿は無かった。代わりに、真っ赤に染まった床には小さな肉片が散らばっていた。
一瞬、事態が呑み込めなかった。俺たちのソウルはどこにいったのかと、そのことで頭がいっぱいになった。
だがよく見ると、真っ赤に染まった床の所々に、俺たちのソウルの欠片とおぼしきものが点々とあった。
「あれは……まさかマイサンの中にあった……」
その時ようやく恐ろしい考えが頭をよぎった。
マイサンが、爆発した。
「嘘だ……。そんな……」
聞いたことがなかった。人間のサンが爆発するなんて。
圧倒的な絶望と喪失感の中、目の前に広がる血の海を呆然と眺めていると、何か小さなものがきらりと光った。
「あれは……?」
恐る恐る近づき、手に取ってみた。付着している血を拭ってみると、金色の小さな玉だった。つるつるとしていて硬く、少し温かい。
匂いを嗅いでみると生臭かった。鼻につんときて、思わず顔をしかめる。だが血の匂いではないようだ。
「どこかで嗅いだことがあるような……」
しばらく考えを巡らせているうちに、ふと思い当たるものがあった。
「これ、まさか……」
これまで何度も繰り広げた戦い。つい先ほども挑んだ死闘。その後の匂い……。
「これまさか、ソウルの匂いか……?」
口に出して確信する。死闘の後に必ず残るこの匂い。そうだ、これはソウルと同じ匂いだ。間違えるはずがない。
だがソウルはこんなに硬くない。そもそもはっきりとした形などないはずだ。
ふと右手が股間に当たった。いつもそこにあるはずのマイサンの温もりがない。そのことに胸を痛めながら、同時に物足りなさを感じた。
「無くなってる……。飛び散ったのか……?」
その時突然、まるで雷に打たれたかのような衝撃が走った。それとともに、この玉がなんなのか、その答えを知ったような気がした。
「これ、もしかして……睾丸か?」
慌てて辺りを見渡すと、同じような玉がもうひとつあった。そっ、と2つの玉を股間にあてがってみた。いいあんばいだ。なんだか収まりがいい。
「やっぱり、睾丸だ!」
そう思うと、少し気が楽になった。突然の喪失に見舞われた心が、安定するのを感じた。それもそのはずである。長年苦楽を共にしたマイサンの形見を見つけたのだから。
「マイサン、マイサン……」
堪えられなくなって、つい嗚咽がもれる。俺とマイサンの激闘の日々が次々とよみがえってくる。玉を潰さないよう、そっと左手を握りしめた。
その夜、俺はマイサンの形見となった睾丸を握りしめながら眠った。翌日目が覚めると、朝飯も食べずに近所の花屋へ向かった。睾丸を植える鉢を買うためだ。
何か確信があるわけではなかった。睾丸を植えたところで何かが芽を出すと、本気で考えたわけではなかった。しかし一方で、睾丸をそのまま放っておく気もさらさらなかった。あのマイサンが残した形見が、ただものな訳がない。その一心で睾丸を植えた。
スマホの電池切れそう
ちょっと待ってて