【サンクトペテルブルク 時事】 安倍晋三首相は5日、ロシア・サンクトペテルブルクで
同国のプーチン大統領、米国のオバマ大統領と相次いで会談した。
首相は日米同盟重視を外交の基本に据えるが、北方領土交渉を抱えるロシアとも
良好な関係を維持したいのが本音。米ロはシリアへの軍事介入の是非をめぐって
鋭く対立しており、板挟みとなった首相は苦しい立場をにじませた。
「シリアで化学兵器が使用された可能性は極めて高い。ロシアを含む国際社会と
緊密に連携していく」。日ロ首脳会談でシリア情勢に自ら言及した首相は、米仏の軍事介入を
支持するかどうかはこれまでと同様、明確にせず、ロシアとも協調していく姿勢を伝えた。
日本政府は「日米同盟を優先するのは当然」(高官)としており、米国が介入に踏み切れば
歩調を合わせるのが基本方針だ。5日の日米首脳会談は米側が前日の4日になって
急きょ申し入れてきた経緯があり、政府内では「米国は日本の支持を取り付けたがっている」
(関係者)との見方も広がっていた。
一方、今回の日ロ首脳会談を北方領土交渉を進める重要な機会と位置付けていた首相には、
「ロシアを刺激したくない」(政府関係者)との思いがあった。首脳会談では、外務次官級協議の
継続を確認。シリア問題で旗幟(きし)を鮮明にせず、ひとまず会談を乗り切った形で、
同行筋は「軍事介入が遅れてよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
もっとも、米議会は9日にも軍事介入承認決議案を採決。可決されればオバマ政権は
シリアへの攻撃を実行するとみられ、日本が態度の明確化を迫られるのも時間の問題と言える。
ただ、その場合も介入「支持」までは踏み込まず、
「理解」にとどめるべきだとの声も政府内では出ている。
安倍首相、米ロの板挟みに=シリア介入で苦しい対応 (09/05 20:50 時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013090500764