【ベルリン=宮下日出男】 シリアの化学兵器使用疑惑でフランス政府は2日、アサド政権側が
実行したとする仏情報機関の報告書を公表した。少なくとも281人が死亡したと分析しており、
アサド政権が1千トン以上の化学兵器を貯蔵していると指摘した。
公表されたのは報告の要約で全9ページ。8月21日に首都ダマスカス郊外で
使われたとされる化学兵器について、「政権側が反体制派部隊に支配された
いくつかの地区に対し、通常の手段と合わせて攻撃を始めた」と指摘している。
報告は現地で撮影された映像などを基にしており、攻撃の規模から死者が1500人に
上ることもありえるとした。米国の報告書は攻撃で1429人が死亡したと見積もっている。
報告書はまた、アサド政権が貯蔵するサリンやマスタードガスなどの化学兵器は
1千トン以上と分析。攻撃に使う最大射程500キロのミサイルなども有しているとして、
攻撃は「シリア政府以外に実行は不可能だ」と強調した。
報告書は、ほかの2カ所で4月にも化学兵器が使われたことを確認したと指摘した上で、
「再び実行されると確信している」と懸念を示した。
エロー仏首相は報告書をめぐり議会代表者と会談。4日に予定される議会での
シリア情勢審議を前に協議した。首相は会談後、「この行為は制裁なしではすまされない」と
改めて軍事介入の必要性を強調した。
米国が軍事介入に議会承認を求める方針を決めたことを受け、フランスでも議会での
投票実施を求める声が高まっている。エロー首相は投票は行われないとの見通しを示しつつ、
「オランド大統領が決めることだ」と述べた。
シリア化学兵器「1千トン、1500人死亡も」 仏が報告書「制裁なしではすまない」 (09/03 09:59 MSN産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130903/mds13090310080003-n1.htm