産経ニュース配信 2013.8.23 18:30
オランダにあるラドバウド大学ナイメーヘン校の研究チームが、被験者の脳内の知覚情報を「解読」
することに成功した。
形状認識とアルゴリズムのトレーニングを組み合わせ、人間が文字を見たときに生じる機能的磁気
共鳴画像(fMRI)の信号の変化を理解するよう、アルゴリズムに学習させる方法を用いたものだ。
「これは知覚を解読しているといっていい」と、『Neuroimage』誌に近く発表される研究の共著者である
マルセル・ファン・ヘルフェンは述べている。
今回用いられた手法は、視覚刺激を後頭葉においてとらえるというもの。
後頭葉は、脳の後部にある視覚処理の中枢であり、この場所と網膜における情報は1対1の対応関係を保つ。
「視覚空間におけるピクセル(画素)は、皮質においても同じようにマッピングされる」と、ファン・ヘルフェン氏は
Wired UKの取材に対して述べた。
簡単にいうと、網膜上のピクセルは、後頭葉においても同じ相対的位置を占めるということだ。
研究では、被験者をfMRIスキャンにかけた状態で、画面にぱっと現れる一連の文字を見せた。
筆跡がいろいろに異なる手書きの文字「B」「R」「A」「I」「N」「S」を表示し、それを見たときの後頭葉の反応をfMRI
によってモニターした。
視覚刺激に対する後頭葉のヴォクセル(voxel:2次元画像を構成するピクセルに対して、3次元画像を構成する
微小立方体の名称)の反応を観察することで、研究チームは、被験者が見た形状を認識するよう、アルゴリズム
に学習させることに成功した。
※中略
ただし、これは人間の思考を読み取ることとは違うと、ファン・ヘルフェン氏は注意を促した。
後頭葉は外的刺激に反応を示し、それゆえ後頭葉において知覚の解読が可能であることはよく知られているが、
同様の刺激を想像するだけで後頭葉に何らかの効果が生じるかどうかはわかっていない。
「心的イメージ(を思い描く)だけで、これらの領域は同じように活性化するのだろうか? もし活性化するのなら、
(それを解読することは)可能だ」と、ファン・ヘルフェン氏は述べた。
2006年のINRIAの研究は、実際に活性化が起きている可能性を示唆するもので、頭に思い描いたパターンを、
後頭葉のデータを用いて再構築できることを明らかにしている。