コンビ組みたての頃の会話。
夜中、誰もいない道をふたりだけでフラフラ歩いている。
「えっと…正式にお前とめでたくコンビ組んだ事だし、とりあえずおでとキスしてみる?」
「……は? なに言ってんの?」
「いや、コンビ組んでる芸人、みんな一度はためしにしてるんだよ。
コンビって夫婦みたいなもんじゃん」
「嘘つき。俺、前の相方とも、前の前の相方ともそんなふざけたことしなかったけど」
「だからお前ら、すぐ解散したんだよ」
「……お前なー、俺が誰のために解散したと思ってるんだよ?
だいたい、みんなしてるってなんだよ?
じゃ、お前も前にコンビ組んだことあったじゃん? そのときの相方とキスしてるわけ?」
パ、答えない。
「え? ……お前、してんの? 前の男たちと」
ちょっと不安になるブ。
パ、いきなり、ブの唇にチュッとキスする。
不意打ちに本気で驚くブ。
「わっ。なにすんだよ? お前なー……」
「やったー。これでお前とは解散しなくて済むな」
はしゃいでいるパ。夜中だからかテンションが高い。
「あのなあ…」
唇をぬぐうブ。
「おでも前に組んだ相方たちとはうまくいかなかったし…。
お前とはずっと一緒にいたいの。
だから初めて、してみた。おでの印。
ね、でも、……これ、誰にも内緒ね? ふたりだけの思い出に。絶対言うなよ? ね? ね?」
「んー……」
結構びっくりしたけど、まんざらでもない気持ちのブ。
おわり。