>>145
パもホテルに備え付けの浴衣を着て出てきた。いつものふざけた様子はなく、少し緊張した面持ちで、
狭くて薄暗い部屋のベッドの、ブの隣にパも腰掛ける。
そして無言のまま、パがブをベッドに押し倒した。
パの体の重みを全身に感じる。
華奢なように見えてもやっぱり自分と背があまり変わらないだけあって重い。
「ねえ、お前は、おでのこと、嫌い?」
と、触れるギリギリまで間近に顔を近づけて、パが聞く。
「…嫌いなら、こんなとこ来ないし」
言いながら、心臓が物凄い音を立てていた。
こんなところに今日、男友達と来るとは思わなかったけど、パと一緒なら良いという気がした。
「じゃあ」
と、パがブの目を見つめて言った。
「おでのものになって」
パの声はちょっと涙声だった。
この人をこれ以上泣かせたらいけない、とブは思った。
パの顔をブは自分の顔に近づけて、自分からキスしようとする。
「お前と、いつか」
ブが、泣いているパに言った。
「こういうことになる、って気がしてた。それが今日…」
ブが言葉を言い終える前に、電話のベルが鳴った。ビクッとしてブの動きが止まる。
自分の携帯からの音ではない。
ホテルの備え付け電話の呼び出し音?
ブは枕元の方を見て、受話器を取る。