>>133
振り返ったブの目に入った光景は、さっきまでいたホテルの部屋の中ではなく、
事務所の、昔の稽古場だった。最近新しいビルに越したからもうここは今は使っていない。
「ねえ、早く練習しなくちゃ」
「なんでここ?さっきまで俺たちホテルで寝てて」
ブが驚いてまばたきすると、パの姿が消えた。稽古場には誰もいない。
「あれ?」
また瞬きすると、稽古場ではなく、薄暗い部屋だった。
ここは見覚えがある。昔遊びに来たことがある、パの家の、彼の部屋だ。でも、今、室内は薄暗くて、近くしか見えないし、パもいない。
辺りを見回すと、また風景が変わった。さっきのビジネスホテルだった。
パはまだベッドの上で掛け布団にくるまっていた。
「あれ?俺、疲れてんのかな?」